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ITPについて

ITPの治療

ITPで使われる主な治療薬と、その特徴

ITPの治療は、完治ではなく、まず「血小板数を安全に保ち、出血を防ぐこと」を第一の目的に行われます。血小板の産生を増やす、自己抗体の産生や血小板破壊を抑えるなど、さまざまな方法で血小板数の改善を目指します。最近では治療薬の種類が増え、患者さん一人ひとりの状況に合わせた治療が選べるようになっています。

ここでは、現在使われている治療薬について、患者さん向けにわかりやすく説明します。

ITPの治療薬(治療法)について

1. 副腎皮質ステロイド

免疫のはたらきを抑えることで、血小板が壊されるのを防ぎます。多くの患者さんが、まずこの治療から開始します。

  • 通常は数週間内服し、徐々に量を減らしていきます。

  • 一部の患者さんで内服を中止できることがありますが、多くの患者さんでは、副作用(糖尿病、胃の不調、骨粗しょう症など)と効果のバランスをみながら、なるべく少ない内服量になるように調整して継続が必要になります。
  • 治療効果や副作用といった点で問題がある場合には、他の治療法へ切り替えていきます。

2. 脾臓摘出(脾摘術)

脾臓は、血小板が壊される場所であると同時に、自己抗体がつくられる場所でもあるため、摘出することで、2/3の患者さんで長期的に血小板数が保たれ、その後治療せず経過をみることができる可能性がわかっています。ただし、血小板数が少ない状態で行う手術のリスクや、脾臓がなくなることにより一部の細菌感染のリスクが高まることに注意が必要です。

脾臓摘出(脾摘術)イラスト

3. TPO受容体作動薬(TPO-RA)

TPO-RAは、血小板をつくるもとになる「巨核球」を刺激して、血小板の産生を増やします。

  • 注射薬と内服薬があります。内服薬では食事内容や服用時間に注意が必要な場合があります。
  • 持病で血栓症があるなど血栓症のリスクが高い人は、注意しながら治療を行います。
  • 他のITP治療と比べ、治療による免疫力低下の心配が少ない治療です。

4. 抗CD20抗体(リツキシマブ)

リツキシマブは、自己抗体をつくるB細胞という免疫細胞を一時的に減らし、血小板を攻撃する自己抗体の産生を抑えます

  • 1回の点滴治療を4回行い、その後は経過をみることになる治療です。
  • 半数以上の患者さんで一時的に血小板数が改善し、効果が長く続く人もいますが、しばらくするとまた血小板数が減る場合もあります。2〜3割の患者さんで長期的に効果が持続すると言われています。
抗CD20抗体(リツキシマブ)イラスト

5. 胎児性Fc受容体(FcRn)阻害薬

血小板を攻撃する自己抗体(IgG抗体)の体内での寿命を延ばす「FcRn」という仕組みをブロックし、ITPの原因となるIgG抗体を減らすことで血小板数を増やします。

  • 1回の点滴投与を行います。
  • 効果を維持するために、投与間隔は患者さんによりますが基本的に週1回の点滴を続ける必要があり、点滴のための定期的な通院継続が必要です。

6. 脾臓チロシンキナーゼ(Syk)阻害剤

マクロファージという細胞が血小板を取り込んで壊すときにはたらくSykという酵素のはたらきを抑えることで、血小板が壊されることを抑える薬です。

  • 原則、1日2回の飲み薬で治療します。血小板数の増え方には個人差があるため、薬の量を調整することがあります。
  • 血栓症のリスクの高い患者さんで選択されることもある治療薬です。
  • 下痢・高血圧・肝機能異常などの副作用がみられることがあり、注意して服用します。

7. ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害薬

免疫細胞にあるBTKという酵素のはたらきを抑えることで、免疫の過剰なはたらきを調節し、血小板が壊されることや自己抗体をつくることを抑える薬です。

  • 12回の飲み薬で治療します。
  • 血小板数の改善に加えて、倦怠感の軽減についても報告されています。
ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害薬イラスト

緊急時や外科処置を受ける患者さんの場合

メチルプレドニゾロンパルス療法(ステロイドパルス療法)

免疫の過剰なはたらきを一時的に強く抑えるステロイドを短期間・大量に点滴することで、血小板が破壊されるのを抑え、速やかに血小板数を増やします

  • 症状が重たい緊急時に使用されることが多くみられます。
  • 通常、3日間連続で点滴投与を行います。
  • 多くの場合、数日以内に血小板数の増加がみられますが、効果は比較的短期間です。長期的に効果を得る治療が続いて行われる場合が多くみられます。

免疫グロブリン大量療法(IVIg)

健康な人由来の免疫グロブリン(IgG)を大量に点滴し、免疫の異常な反応を一時的に調整することで、血小板の破壊を抑えます。

  • 緊急時や手術前の即効性を期待して、一般に5日間連続の点滴投与が行われます。妊娠中の使用も可能です。
  • 投与開始から数日で血小板数が増加しますが、効果は一時的で2週間程度です。
  • アナフィラキシーショックを起こすことがあるので、初回は十分に注意して投与します。

血小板輸血

献血により得られた血小板製剤を補充する治療法です。

  • 止血のための緊急治療として点滴投与を行います。ITPでは輸血された血小板も壊されやすいため、効果は長持ちせず短期間です。
  • 血小板の補充だけで、免疫を調節する作用はないため、多くの場合、IVIgやステロイド治療と併用して行われます。

治療法はどうやって選ぶの?

次のポイントを医師と相談しながら、あなたにとってもっとも続けやすくて希望に沿う治療を選んでいきましょう。

  • 出血のリスク(年齢・血小板数・症状)

  • 生活スタイル(通院頻度/服薬のしやすさ/運動などの活動量 など)
  • 他の病気や併用薬との相性
  • 過去に受けた治療の効果

MAT-JP-2603305-1.0-06/2026